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美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

ジャニーズ事務所を中心に、美しい人たちを愛でて現場や映画やTVの感想を綴っています。

平野啓一郎「フェニックスのリア王」~櫻井翔

ジャニーズ  ブックレビュー

2014年1月1日朝日新聞広告特集より。

 「気鋭の作家たちが描く『もう一人の嵐たち』

嵐のようで嵐ではない5人を主人公に、

作家がそのイマジネーションを自由に働かせてつむぎだした

五つのストーリー。」

 

これらの素敵な写真たちは、彼らをモデルにした小説と共に掲載されました。

朝日新聞と嵐(2013年12月31日~2014年1月1日) - 美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

 

5つの短編についてそれぞれ綴るレビューです。

 川上未映子「僕たちは、抱きあったことさえ」~松本潤 - 美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

山崎ナオコーラ「僕は駿馬」~相葉雅紀 - 美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

伊坂幸太郎「Eの874」~二宮和也 - 美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

阿部和重「追跡者」~大野智 - 美しいものに癒されるから、大切な時間は記録に残す。

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平野啓一郎「フェニックスのリア王」~櫻井翔

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(あらすじ)

僕は、ロスからアリゾナのフェニックスに向かう飛行機に乗っていた。

隣の席の、60歳くらいのよれよれの帽子を被った男性に、

「君は実に人が良さそうだ。」と話しかけられた。

 

工場労働者であった男性は、20年前初めて行ったラスベガスのスロットで

24億円もの大金を手に入れた。

三人の娘のうち、長女と次女は彼と共に様々な事業を計画した。

 

しかし末娘だけは、貯金をしろ寄付をしろとシブいことを言うので喧嘩になった。

結局末娘は出ていき、その後、彼の事業は失敗に終わり、四年で破産した。

長女と次女は彼を邪険に扱うようになった。

 

以後10年以上、彼はホームレスとしてさまよい、最近ようやく再び仕事に就いた。

そしてそのことを末娘がどこからか聞きつけ、これから一緒に暮らそうと言う。

そして、これから20年ぶりに空港で再会するのだと。

 

僕は思わず、

「良かったですねえ。しかしリア王みたいな話ですね。」と言った。

彼はリア王の話を知らなかった。そして結末を知りたがった。

僕は後悔した。

「悲劇です。」とは言えなかった。

 

彼は、

「20年ぶりに会う娘に、一目で気付けないかもしれない。」

と、不安を口にした。

そして、

「娘の写真を渡すから、空港に着いたら先に娘を探してほしい。」

と、僕に依頼してきた。

 

僕はヘンな頼みだと思ったが、その不安もわかる気がして承諾した。

彼はお礼だと言って、ロトくじを3枚くれた。

要らないと遠慮したが、彼は譲らなかった。

 

空港に着いてみると、それらしき女性は見当たらなかった。

きっと彼は落胆するだろう。

落胆した彼を置いて去ることができるだろうか?

しかし、僕の仕事のアポまでの時間もない。

 

僕が溜息を吐いたのと同じタイミングで、隣にいた青年も溜息を吐いた。

僕たちは顔を見合わせた。

「母親に頼まれて、会ったこともないじいさんを探しているんだ。

久しぶりだから、会ってわからないと気まずいって。」

 

僕は目を丸くして、「それだ!」と飛び上がった。

 

3分程して彼女はやって来た。今の彼にそっくりだった。

24億円の話をすると、

「嘘よ、そんなの。ただの飲んだくれのギャンブル好きだから、わたし家を出たの。」

僕は脱力した。

 

とにかく彼に電話をした。

彼女は父親とやり直せるかどうか、不安を感じているようだった。

「大丈夫ですよ、あなたたち親子、考えることが同じですから。」

「ありがとう、あなた本当に人がいいのね。」

 

その後、僕はロトくじの抽選番号を確認した。

なんと、100ドル当たっていた。

 

僕はすぐに彼に電話をして、券を返そうと思った。

けれどもしばらく考えて、これは僕が貰っておいて、

どこかに寄付でもするのがいいだろう、という結論に至った。

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 この作品に出てくる「僕」が、

世間が櫻井さんに対して抱いている印象なんだろうなあ・・。

 

「いやいやいや!櫻井さんは、そんなに人は良くないと思うよ!!」

と、ひややかな笑みを浮かべながら読んでしまったのだけど、

(注:櫻井翔さんは魅力的な人です)

 

櫻井さんご本人も、

「僕はこの作品の主人公ほどお人よしではないけれど」

と、読後インタビューで語っておられ、安心しました。

 

「朝日新聞」で「お正月」で、「国民的アイドル嵐」の小説なのだから、

こういう爽やかな作品になるよね。

これはこれで、櫻井さんの端正なビジュアルが映える作品で好きです。

 

でもでも個人的には、

櫻井さんの魅力を大いに引き出すことができるのは、

「家族ゲーム」のような、知的で暴力的で闇を持つ役だと思ってる。

 ああ、そんな櫻井さんを描いた小説もできれば・・・、

って、「お正月」の「朝日新聞」だったんだった。

 

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